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ドラマ『ストーカー 逃げ切れぬ愛』渡部篤郎の怪演光る


1997年日テレの冬ドラマ。渡部篤郎の出世作「ストーカー 逃げ切れぬ愛」を紹介します。

ストーカーという言葉が世の中に出始めた頃に放送されたドラマで、「ストーカーとは」をわかりやすく渡部篤郎が演じてくれています。

渡部篤郎の怪演もさることながら、坂本龍一作曲の主題歌「The Other Side of Love」がとても切なくてドラマを盛り上げます。そして、主役の高岡早紀が、いかにもストーカーに狙われそうな可憐さでかつ色っぽいの。

こんな傑作ドラマを埋もれさせるのはもったいない。ぜひ動画配信してもらって綺麗な画像で見てみたいものです。

以下、ネタバレ感想を載せます。

詐欺師のホストがハマり役「愛なんていらねえよ、夏」
paravi【パラビ】で観る

キャスト

★岸本うみ(高岡早紀)
25歳。ゴルフクラブで働く。田所と不倫関係

★三枝辰也(渡部篤郎)
眼科医。海にひとめぼれし、ストーカーとなる

★田所雅彦(神田正輝)
プロゴルファー。妻あり

★岡部さとし(河相我聞)
海と同じ職場で働く。なぜか海を監視

★岸本そら(遊井亮子)
海の妹。音大生

★吉川智子(井上晴美)
海の同僚かつ親友

 

オープニング

「The Other Side of Love」
坂本龍一 featuring Sister M

壮大な曲をバックに、アンニュイな表情の高岡早紀が、砂浜でただただ漂ってる。大人っぽいメイクと衣装が、どこかのブランドの広告みたい。早送りせずに毎回じっくり見てしまう。

主題歌を歌ってる「Sister M」は坂本龍一の娘さんです。

 

1話:出会い

xmas1

クリスマスイブ

ウミ(高岡早紀)は不倫相手の田所(神田正輝)と幸せなひと時を過ごし別れた後、田所が妻用の花束を購入する姿を目撃してしまう。

向こうの通りでは、男(渡部篤郎)が人とぶつかり、持っていた花束を落として踏みつけられていた。

可哀相に思ったウミは、田所からもらったクリスマスローズの花束をその男にあげる。

<母さん、僕はイブに素敵な人に出会いました>

眼科医の三枝(渡部篤郎)は、ひとめぼれしたウミの居場所を探し始める(怖っ!!)

ウミの誕生日

三枝の罠で、田所と嫁が一緒にいる場面にウミが出くわし、それにより田所との別れを決意する。

<母さん、彼女は僕が守りました>

ウミの目の前に現れた三枝。自己紹介して食事に誘い、クリスマスローズの花束を渡す。ウミは見ず知らずの人に突然話しかけられ、戸惑いながら花束を受け取る。

<君はまだ、気付いていないんだよね。僕を愛していることに>

感想

なにこれ。こわーい。おもしろーい。

突然タクシー運転手にキレたり、バスでウミの真後ろに立ってるの怖い!顔近すぎ!

不倫相手との別れで涙をぽろぽろと流すウミが美しくて、バックに流れる曲も切なくて素敵だなーとか思って油断してたら、三枝が大爆笑してるし。

怖いわ~。

でも見た目はお似合いなんだよね。

不倫相手の神田正輝がいかにも愛人がいそうなおじさんで、高岡早紀をバックハグする別れのシーンが生々しくて受け付けなかった。

ウミならもっと素敵な男性がいると思うんだけど、だめんずを引き寄せてしまう何かがウミにはあるのかね。

 

2話:初デート

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ある日、ウミが洋服を買おうとすると、なぜかクレジットカードが使用停止になっていた。困っていると、三枝が現れゴールドカードを差し出す。

後日、お金を返すため三枝の病院を訪れると、強引に目の検査を勧められる(こわいよー)

田所(神田正輝)は嫁と上手くいかず、ウミに会いに行きハグする。その様子を見ていた三枝は、階段から田所を突き落とす

ひぇーーーー

<母さん、あいつが全ての原因なんです。そう、あれは天罰なんです>

ウミは新しい恋に踏み出すため、三枝とデートに行く。帰り際に

「結婚してくれませんか?」

戸惑うウミは、三枝の車で自分のカードの紛失届を見つける。仕組まれた出会いだったと気付き、怒って帰る。

翌日、ウミが出社すると、スタッフから「結婚おめでとう」コールを受ける。

こわいーーー

感想

三枝は普通にしてればウミとめちゃくちゃお似合いなのにね。

 

3話:独断で婚約発表

勝手に婚約させられたウミは激怒する。三枝は必死に説明し、号泣。ウミがハンカチを差し出して帰ると、急に泣き止んで

「コーヒーください」

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<母さん、彼女はやっぱり僕を愛していました。ハンカチを僕に渡してくれたことが、その証です>

その後、三枝の挑発に乗せられた田所が謹慎処分になったり、職場に田所との不倫をバラす旨のFaxが届いたり。踏んだり蹴ったりのウミちゃん。

三枝の病院に乗り込むと、ウミの個人情報や今までの出来事が記されたフロッピーを発見する。

・・・
14日 田所の怪我,思いのほか軽傷.
17日 婚約.ハンカチをプレゼントしてくれる.
・・・
27日 田所ジ・エンド

ウミは田所の明日がジエンドの意味を確かめるため、三枝の家に乗り込む。案の定、ウミちゃん三枝に襲われ絶体絶命のピンチ。そんな時、同じ職場の聡(河相我聞)が助けに来てくれた。

その後、ウミが自宅に帰ると、妹(遊井亮子)の来客がいた

「おかえりなさい」

それは三枝だった。

ぎゃーーーーーーー

感想

3話でもうバレるんだ。展開が早い。

三枝が書き留めてた記録が全部自分の良いように解釈されてて笑う。DVDとか出たら、特典にこの詳細な記録の冊子つけてほしい。詳しく読みたい。

医者だし渡部篤郎の外見だし、面倒だからプロポーズOKしちゃっていいんじゃないかな?

4話:両目から出血

翌日、飲み屋にいる田所に棚が倒れてきて、ウミがかばう。

ウミは両目から出血(!)し、三枝がいる病院に急患として運ばれてくる。そんなケガの仕方あります??

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三枝による手術が終わり、失明も避けられた。ウミは三枝の声を聞いて怯える。

三枝はウミの妹ソラに近づき、味方につけていた。転院を望むウミに、ソラは三枝を医者として信用しろと説得する。

その後、処方された睡眠薬で眠るウミの部屋に三枝登場。

「やっと二人っきりになれたね」

ウミの枕もとで愛の告白をする。

感想

なんだかすごく切なくなってきた。お似合いだから、もう三枝にしなよ。ライバルの神田正輝が終始無表情で逆に不気味なんだよなー

 

5話:三枝のトラウマ

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翌日、包帯が取れたウミに、三枝は今までの行いを謝罪する。少し信頼を取り戻すが、昨夜睡眠薬を処方されていたことを知ったウミは、勝手に退院する。

三枝に好意を寄せる妹ソラは、今までの災難は三枝のせいだと決めつける姉に、自意識過剰だと大激怒。

さらに怒りはお母さんの問題まで発展。お姉ちゃんの中途半端なせいで私が不幸になってるだってさ。これは言い過ぎだぞ

一方、ウミに突然去られ、過去のトラウマを思い出す三枝。ウミが使っていたベットで悦に入ってる。キモい~

<母さん、彼女は僕の愛を認めてくれました。彼女が僕に微笑んでくれたんです>

その後、田所(神田正輝)が三枝とタイマンで話し合い。ひたすら棒読みの田所…

三枝は意外と心に響いてるみたい。母親との過去の出来事を思い出し、勝手に追い詰められてゆく(発作の演技ヤバい…篤郎すごいよ…)

息も絶え絶えでウミの自宅へ。ウミと離れていると不安で呼吸ができなくなるとな。三枝は同情を引くが、

「これからの私の人生に、あなたはいません(キリッ」

きっつーー。妹に断り方を注意されたから、はっきり言ってやったのね。ウミは心機一転、仕事を辞めて新しい人生を歩むとのこと。

三枝に騙されているソラは、ウミの前で三枝にキスをする。

「あたし、三枝さん愛してる!」

感想

ウミちゃんが追い詰められてほんと可哀相。妹に信用してもらえないのツラいよね。

篤郎の狂気の演技がノリに乗ってる。すごいわ~。感情豊かで引き込まれるね。悪いのになぜか応援してしまう。

それに対して神田正輝の棒っぷりったら。ウミはこの男のどこに惚れたんだ??

 

6話:信頼を失ったウミ

<母さん、彼女の妹も僕を応援してくれてます。明日が楽しみです>

ウミが自宅に帰ると三枝がいた。

「おかえりなさい」

ぎゃーーーー

三枝はソラのピアノのレッスンを受けていただけだとのたまう。その手があったか…

「あなたはいったい何をしたいの?!」
「それでいいんだよ!君の頭の中を僕でいっぱいにしてあげるよ」

親友の智子はウミに協力して、三枝の身辺を探り出す。しかしウミの部屋に仕掛けた盗聴器によって全て筒抜け。

stoker6

三枝の罠で、智子(井上晴美)が乗ったエレベーターが緊急停止。怖いー

エレベーターの扉に「定期点検中」の札をぶらさげる。智子は閉じ込められたまま。怖いー

翌日、ウミが帰宅すると、ウミ母と三枝が和やかに鍋を囲んでいた。怖いー

ウミは必死に説明するが、ウミ母は不倫男よりよっぽど愛されていいじゃない、とのこと。怖いー

泊っていけば?と言うウミ母の誘いを断って、三枝は智子がいるエレベーターの天井へ。「アリア」の曲を流してダンス。怖いー

智子は丸一日閉じ込められ、恐怖で気が狂う。怖いー

翌日、聡が智子を救出。お見舞いに来たウミを見た途端、恐怖で怯える。背後に三枝の霊が見えるらしい。怖いー

ウミは失意のどん底で自宅へ帰ると、三枝がいた。怖いー

私を抱けば満足なのかと聞くと、三枝は心が欲しいと言う。

「あなたなんかに絶対に心はあげない(キリッ」

感想

何を言っても伝わらないし、身近な人からも信頼を失っていって、こんな辛いことってないよね。人間不信になるわ。

 

7話:増長するストーカー行為

「憎め!憎め!君が僕を憎めば憎むほど、君の頭の中、僕の存在でいっぱいになるんだ。ハハハ」

狂っている…

ウミは聡(河相我聞)に、三枝に花束をあげたことを後悔している、と話す。すると聡は花を買ってきた。

stoker7

「あいつに花をあげたのは悪くない」
「ありがと」

その場面を見ていた三枝は、クラクションを何度も鳴らし、車で去る。

聡にキュンとしてたらこれですよ…。怖いわ~

三枝のストーカー行為はエスカレート。ウミの自宅に侵入して、盗聴器を仕掛けまくる。さらに、ウミの部屋で好き放題したり、お風呂へ入ったり、、、

キモいー

ウミの身の回りで次々とトラブルが起こり、三枝が盗聴していることを疑い始める。

<聞こえるよ。君の息遣い。君の胸の鼓動が。僕には聞こえる>

聡が三枝について調べると、実は自分の兄だったことがわかる。そんなことあります??灯台下暗しだね。

三枝はウミが疑い始めていることを知り、自宅に侵入し盗聴器を回収する。すると突然明るくなり、

「家宅侵入の罪で逮捕します」

警察に捕まる。

感想

ウミちゃん現行犯逮捕お見事!

 

8話:毒親の呪縛

チャイムが鳴りウミが外に出ると、三枝が立っていた。

「驚かしてごめんなさいね。さっき釈放されたんだ」

もーやだ…

ウミの転職祝いで女子会をしていると、三枝が現れる。ナイフを取り出し切腹。ぎゃーー

その後、病院から勝手に退院してきた三枝は、母親(赤座美代子)に怒られる。三枝は幼少のころから母親の言いなりだった。

「僕はどんなに彼女を愛しても、そんなのは愛じゃないとみんなは言います。でも僕はそんな風にしか人を愛せない人間になってしまいました。あなたのせいです」

なにこれ…。三枝の異常な行動だけじゃなく、心の裏側もしっかり描いてくれるのが、より切なさを増すね。

三枝は、母親ともウミとも離れて独り立ちするからと、お別れの挨拶をしにウミの前に現れる。最後に渡したいプレゼントが車の後ろのシートにあるとな。

傷が酷くて歩けない様子の三枝。見かねたウミが車のドアを開けた瞬間!三枝から口をふさがれ羽交い締めにされ、シートに押し込まれる。ぎゃーー

ウミは監禁され、三枝との地獄の日々が始まった。

感想

怖すぎて笑ったわ。ちょっとでも同情するとこれですよ。三枝演技上手すぎ。すごい…

 

9話:監禁

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どうやらウミの前に同じようにストーカーしていた女性がいて、同じ部屋で監禁していた(!)らしい。あの1話の冒頭で窓から飛び降りた女性のことか…

彼女が死んだ日が、ウミと出会った日だったとのこと。へーー

三枝の隙をついて、ウミはホーク(!)で脅す

「君に殺されるなら本望だよ」

ウミが諦めかけたとき、聡が助けにきてくれた!二人で逃げようとするけど、聡ボコボコ。聡弱い…。三枝が聡の脚を刺してぐりぐり。きゃー

でもなんとかして二人は脱出する。

部屋には聡が落とした写真が残されていた。三枝は聡が弟だと知る。

その後、ウミと聡が逃げ込んだ小屋の外には三枝がやってきた(もーやだ)

弟に涙の訴え。二人が情にほだされ、聡が窓から顔を出すと、三枝が豹変する。

「お前のせいだー!!どおしてお前は俺から大事なものを奪うんだー!」

感想

怖いよー。三枝の演技が上手すぎて何度も騙される…

 

最終話:ずっと一緒にいたい

三枝は小屋にをつける。まじで?!

「出てこい!殺してやる!!」

斧で扉をたたき壊す。やばいよー

二人が逃げると、三枝がいる小屋は炎に包まれた。

えーこれ、月曜日の夜10時に放送してたんだよね?!すげーな

火事のせいで聡の肝臓がやられてしまって、移植が必要とな。急だなオイ…。一方、兄の三枝不死身。元気そうでなにより!

ウミは聡を助けるために血縁者の三枝を探す。ウミと三枝は腹を割って話し合うが、どうやっても平行線。仕方なく三枝の「一生一緒にいたい」という条件に従う

洗脳だねこれは…。ウミは感情が無くなる。三枝泣き笑い

二人は肝臓移植のために病院へ行くが、一緒に死のうと屋上へ。どうやら三枝は聡に嫉妬している模様。めんどくせー男だな。それなら一緒に死んであの世へ逃げよう、だってさ。

「わかった。私の命が欲しいなら、あげる」

捨て身のウミを見て諦めた三枝は、屋上から身を投げる。

ー完ー

感想

ストーカーと結ばれるENDは絶対に嫌だし、ヒロインがストーカーに殺されるENDも絶対に嫌、あと永遠にストーカーに付きまとわれるENDも絶対に嫌だから、これが無難な終わり方だよね。

と思ってたら、最後、三枝とすれ違った!これは彼女の幻覚なのか?余韻を楽しむために、死んでるか生きてるかわからないような演出、素晴らしいよ。ありがとう。

 

あとがき

どんなに酷いことをしても、表情豊かな渡部篤郎の三枝が魅力的だった。

久しぶりに観たらストーリーを忘れてて、新しい気持ちで楽しめた!あぁ楽しかった。

放送当時は、渡部篤郎の役がトラウマになるほど気持ち悪くて怖いイメージしかなかったけど、今見ると、高岡早紀ととってもお似合いで、付き合っちゃえよー、なんて思えてきた。

たぶんそれは、神田正輝河相我聞が無表情で熱が何も伝わってこなかったせいだと思う。

でも、まぁ、その男性たちが無能なおかげで、ウミの孤立がさらに際立ったよね。絶望を何度も味わったよ。それを予想して二人をキャスティングしたのなら、スタッフにあっぱれを贈りたい。

ホラー映画みたいに、ヒロインがキャーキャーわめくんじゃなくて、可憐な高岡早紀の静かに怯える姿がリアルだった。ウミは正面から三枝に何度もきっぱりと断るけど、全く話が通じないってのがストーカーだよね。これは途方に暮れる。

あと、狂気的な場面で、視聴者を脅かすだけの演出ではなくて、色んなバージョンの「The Other Side of Love」を流して、とても切なくてドラマティックにさせてくれた。曲が流れるだけで感動的な雰囲気になるよね。懐かしくてダウンロードしてしまった。

好きな部分がたくさんありすぎて感想がまとまらないけど、、、名作だからまたどこかで再放送とかしてほしいな。

詐欺師のホストがハマり役「愛なんていらねえよ、夏」
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ドラマ『ストーカー 逃げ切れぬ愛』渡部篤郎の怪演光る」への2件のフィードバック

  1. asakorira

    坂本龍一さんの訃報で当時好きだったThe other side of loveを聞いていると、このドラマのことを思い出しました。当時見てはいたものの結末が思い出せずこちらのブログに辿り着きました。ツッコミ入りで面白く、笑いながら読ませていただきました。小学生ながら渡部篤郎の演技には胸をうつものがありました。また見直したいです。

    返信
    1. やどっきー 投稿作成者

      asakoriraさんコメントありがとうございます。
      「The other side of love」とても綺麗な曲で大好きです。有料の配信でもいいから、ドラマを見られるようにしてほしいですね。

      返信

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