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漫画『AKIRA/アキラ』あらすじ感想~2019年の東京が舞台

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私が小学生の頃「AKIRA」というアニメ映画が話題になったのを覚えている。

絵を見ると明らかに男の子が見るものだから、接点がないままで、その後「AKIRA」が数年おきに話題になるたびに「だからアキラってなんやねん?」ってずっとモヤモヤしていた。

結婚してから本棚に占領してるデカい本。実は家に「AKIRA」がある。気になりつつも1度も開くことなく、20年間生活してきたけれど、どこかのネットニュースでアキラの世界が2019年を描いている。というのを目にした。

今年が「AKIRA」を理解する最後のチャンスだ!と思い、手に馴染まない重い本を出してみた。

著者:大友克洋
1982年12月20日号から『週刊ヤングマガジン』にて連載

1巻:鉄雄

アキラなのにテツオって何だろう…な感じで物語がスタート!

1982年12月に関東地区に新型爆弾が落とされ、第3次世界大戦勃発。その後、人々は再興を目指した。

現在2019年

しかも来年、東京オリンピック開催予定とのこと。これは鳥肌ものだ…

職業訓練専門学校に通う不良グループの金田たちが、高速をバイクで爆走。道の真ん中に人がいて、避けた鉄雄はバイクから転げ落ち、大けがを負う。その後、鉄雄は行方不明に…

タカシとマサルとキヨコ

鉄雄が事故に遭った原因の人物は、体が子どもで顔が老人。タカシ(26号)という名らしい。さらに別の小人のおじさん・マサル(27号)が現れる。

タカシは薬切れでマサルにカプセルをもらおうとするが、金田が奪う。どうやらその薬は相当強い興奮剤らしい。

政府が作った研究所の中の子供部屋に、仲間のキヨコ(25号)がいた。シワシワの小さい女の子

「夢を見たわ。アキラくんの夢…。もうすぐ起きるワ」

政治家の人たち、アキラのために莫大な予算を計上してるらしい。ゼロひとつ減れば、万単位の人間が死んで行くだろう…。地球を100回壊しても、つりの来る金額らしい。どんだけ~

大佐はアキラが目覚めるのが怖くて、閉じ込めてある秘密基地を見学。

キンキンに冷えた部屋でおどろおどろしい機械に覆いかぶされてるけど、この中にアキラはいるのか?さっぱりわからずイライラする。

鉄雄の覚醒

鉄雄が事故に遭った時、収容先で脳波に異常が見つかり、人体実験をされる。そんな中、鉄雄は見張りを殺して病院を脱出。どうやら覚醒したらしい。

一方、手配中の金田は身を隠す。そんなとき、仲間だった鉄雄がクラウンのボスになったことを知り、激おこでバイク仲間を招集する。

どうやら鉄雄はバケモノ(!)になってるらしい。

いつもボスだった金田に、嫉妬むき出しの鉄雄。超能力を使えることをいいことに金田をやっつける。ずるい…

金田が隠し持っていたカプセルを鉄雄が奪い、飲むと、さらに覚醒。41号が誕生した。

1巻を読むまでは、赤いバイクの男の子がアキラくんだとずっと思ってた…。まだまだ謎に包まれてて正体不明。もったいぶってイライラする。

 

2巻:アキラ

2巻の副題が突然「アキラ」でビックリ。やっと正体を教えてくれるのか?

アキラの秘密をめぐって暗躍するゲリラ組織に所属する女・ケイ。金田とコンビで鉄雄を追う。このケイと金田の見た目がすんごい似てて、見分けがつかない…

覚醒した鉄雄はアキラの正体を知りたがり、ドクターから場所を教えてもらう。

なんと、オリンピックの建設現場の地下にアキラがいるとのこと。建設途中なのが現実とリンクしていてなんだか怖い…

その時、金田がやってきて、鉄雄と戦う。

金田は普通の人間なのに、謎の使命感でポテンシャルが高い。不良バイク仲間のリーダーやってるだけある。タカシたちは、金田に鉄雄を止めてもらおうと期待して、アキラの場所を教える。

ケイはキヨコに質問する。

「アキラってなに?」
「ワタシ達の28番目の仲間」

へぇ、仲間なの?仲間だけど手が付けられなくなってしまったのか。

満を持してアキラ登場

鉄雄は基地の最深部に到着。大佐の阻止も虚しく、アキラ登場。

超絶クズな見た目の敵を思い浮かべてたけど、普通の小3くらいの男の子だった。しかも小綺麗。悪者が子どもって、切ない展開しか予想できないんだけど…どうやら醜い悪者をスカッと倒す物語ではなさそう。

鉄雄はアキラの手を引き、地上へ出ると、第3次世界大戦の引き金となった新型爆弾の爆心地の中心にいた。

大佐はアキラをやっつけるため、軍事衛星SOLでレーザー発射。鉄雄は片腕を失う。基地から脱出した金田とケイは、掌に28と記された少年(アキラ)を拾う。

盛り上がってきたー!

 

3巻:アキラⅡ

新興宗教の教祖のミヤコ様(19号)は、ゲリラ組織の主でもあり野党の党首の根津を操っていた。さらに、ミヤコは娘の榊にアキラを連れてくるよう命令する。

金田はアキラを背負って爆発から逃れ、ゲリラ組織の武器調達係・チヨコのアジトに身を潜めた。

その後、アキラは榊にさらわれたり、金田が奪い返したり、アキラ大人気。そして、ネオ東京はめちゃくちゃ…

アキラの覚醒

タカシとマサルとキヨコが、アキラと30年ぶりの再会を果たした時、タカシが側頭部を撃たれる。同時にみんな強い頭痛に襲われ、アキラが覚醒する。光が集まり、ネオ東京は壊滅状態。

アキラを感じてやってきた鉄雄は、アキラと共に空に昇る(!)

物語はなんだかよくわからないけど、画力に引き込まれる。1本ずつの線が力強くて、映像が浮かんでくるよ。

そうそう、3巻から裏表紙の趣が急に変わるの。

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競馬場は写真で、スクリーンにAKIRAが映ってる。突然このセンス好きだ。

 

4巻:ケイ

脇役だと思っていたケイがまさかの主役で驚き…

2020年、アキラの覚醒でネオ東京が陥没し、東京湾上に孤立していた。街は暴徒化し、アキラを「大覚様」と祀る大東京帝国が出現する。鉄雄は民衆をまとめ勢力を広げた。

アキラの全貌

鉄雄はミヤコ様のもとを訪れ、アキラの誕生秘話を聞く。

その昔、国家プロジェクトとして人体実験が行われていた。神経生理学を専門とした学者の手によって、脳に刺激を与えて能力を持った子供を創り出された。その中でも「力」があると認められた者に番号が与えられたとのこと。

そして、28番目の子供(アキラ)が東京を消し、その学者も記録も消してしまった。

今、残っているのはアキラと3人の子供たちだけだった。鉄雄は41号だから、30番台もいるのかな…

ミヤコ様に「薬に頼らず自分の力でなんとかしろ」と図星を突かれ、激おこの鉄雄。薬絶ちを決意する。

ミヤコ教討伐

ケイはミヤコ様のもとにマサル(27号)を連れていく。ミヤコ(19号)は10歳のとき実験中に仮死状態になり、13年後に目覚めたとのこと。

そのころ、鉄雄の代わりに大東京帝国の指揮官としてしゃしゃり出た隊長は、ミヤコ宮殿の襲撃を指示する。しかし、ケイにより隊長は捕まり、帝国敗退。

帝国軍は体制を整えて、再度襲撃する。帝国軍に包囲された大佐が秘密兵器のSOLを発射させると、光と共に鉄雄は宙に浮かび上がり、なぜか3巻の終わりで消えたビル群と金田が空から落ちてくる。え?

もうめちゃくちゃ…。そういえば東京オリンピックの代替地は決まったのかしら?

 

5巻:ケイⅡ

またケイか…

ネオ東京の崩壊を機に、第4次世界大戦の危機を迎えた米ソ両国は、停戦に合意するとともに、アキラの謎解明を目的とするプロジェクトを立ち上げた。世界規模ですごい…

ミヤコ様の指摘どおりに薬絶ちした鉄雄は、新たなステージへ上る。力を試すため、米軍の戦闘機を破壊したり、科学者の前に現れておちょくったり…、鉄雄やりたい放題。

そんな時、帝国軍は、ミヤコ教の勢力拡大に危機感を持ち、オリンピックスタジアムで集会を開く。そこで、デモンストレーションとして、鉄雄が月面を破壊する。えっ??!!

そのせいで引力のバランスが崩れ、異常気象が起きる。もー何やってくれてんだか…

しだいに、鉄雄自身コントロールが効かなくなり、巨大空母を吸収しようとしていた。うそ~ん

一方、ケイはミヤコ様から、鉄雄を倒すために力を貸してほしいと頼まれる。鉄雄のフルパワーを利用して、アキラを倒そうという算段らしい。そのために、ケイの体を使って、28号たちがひとつになるとのこと。

そしてケイは戦う決意をする。さらに、金田率いる不良少年軍団が突撃を開始する。

大混乱状態で最終章に突入~

もう何のために戦ってるのか、わからなくなってきた…

「AKIRA」っていう題名より「TETSUO」のほうがしっくりくるんじゃないかってほど、鉄雄の成長物語になってるね。

薬を服用しないで能力を発揮できるようになったなんて、15歳なのに自制心が強くて素晴らしいよ。やはり、アキラや金田への憧れというか嫉妬があるから、てっぺんを取りたいっていう男性特有の成り上がり精神が強いのかな。

ちなみに普通のコミックとこんなに大きさが違うの。絵が大きくてアラフォーの目には優しいんだけど、厚みも2倍で重くてつらい…

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5巻の裏表紙のミヤコ様の熊手が可愛いの。これグッズとかで売ってたら買いたいな。ご利益ありそう…

 

6巻:金田

オリンピックスタジアムで、鉄雄やら金田やら帝国軍やらアメリカ軍やらの混戦が始まる。

最終的に鉄雄と金田の一騎打ち。金田は普通の人間なのに、不死身すぎ…

ちょうどその時、アメリカ軍がSOLをハッキングして、ネオ東京を爆撃。鉄雄は空に飛んで行き、アメリカの空母を撃沈!!すっげー

一旦落ち着くが、鉄雄はまたもや自我が崩壊して巨大な胎児の姿になる。なんじゃこりゃぁー。鉄雄の面影なし…。でもこれ妊娠中にお腹のエコー撮るとこんな感じだよね。手の小ささとか丸まった体とか可愛いけど、男の人から見たらバケモノなんだろな。

アキラは鉄雄の姿を見て共鳴し、力をためる。

金田は鉄雄に飲み込まれ、異世界へ。鉄雄の幼少期、生命の誕生、さらに宇宙の記憶まで旅をする。

人間の手で操作して人類を進化させようとしたことは、間違いだった。研究で生まれた子供たちは、不仕合せだった。しかし、25号のキヨコは

「仲間が出来たわ…」

と穏やかに言う。不幸な生い立ちでも、気持ちを共感できる仲間がいれば幸せってことか…

そして、金田とケイは助かった…

大東京帝国AKIRA

壊滅状態になったネオ東京に、国連から派遣された監視団が現れる。

金田は「大東京帝国AKIRA」の設立を宣言し、監視団の救援物資を強奪する。

「アキラはまだ俺たちの中に生きてるぞ!」

金田はそう言い残し、バイクの後ろにケイを乗せて、街に消えていった…

ー完ー

へぇ~。そんな終わり方なのね。主人公のアキラにはもう生きる道は残ってないけど、生死がわからないエンディングにしてくれてよかった。読み終わった後に、余韻に浸れる。

殺人や破壊の繰り返しばかりで、途中どうなることかと思ったけど、新しい国の誕生で終わらせるなんて粋だね。締めくくりが希望に満ちてて、こんなにいい気分で読み終われるとは想像していなかったよ。

作者の優しさを感じた。ありがとう~

 

あとがき

何がすごいって、今から37年前にこの作品が発表されたこと。今読んでも全然古く感じなくて、なんだかお洒落でかっこいい。今でもファンがたくさんいるのが納得できた。

そして何より絵が素晴らしい。どれほど時間がかかってるんだろう…って気が遠くなるほどの描写の細かさ。読者の私はただただ目が楽しかった。芸術作品だね。

今回、AKIRAを読んで、来年、東京オリンピックのスタジアムに足を運びたいと思った。この下に、もしかしたらアキラが眠ってるかも、とか考えたらゾクゾクするよねぇ。あ、でも、来年はアキラくん出てきちゃってるから、いないかな…

東京オリンピックの組織委員会は、絶対「AKIRA」とコラボ商品を作った方がいいと思う。


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