篠原千絵先生の漫画「闇のパープル・アイ」を紹介します。コミックは全12巻で、第1巻発売は1984年です。
物語は、普通の女子高生が、怒ると豹に変身する能力が現れるところから始まります。その後、彼氏とギクシャクしたり、研究者から追われる身になったり、生活が一変。
とにかくそばで見守る彼氏・慎ちゃんが良い!だだの人間なんだけど、化け物の彼女を守るためにがんばってるの~
<あらすじと感想>
1巻 2巻 3巻 4巻 5巻 6巻
7巻 8巻 9巻 10巻 11巻 最終巻
1巻:能力の出現
主人公の尾崎倫子は高校1年生。2つ年上の幼なじみの慎ちゃんと良い感じ。
小さなころから腕にあるアザが、最近濃くなってきた。さらに暗闇でガラスに映った自分の瞳が紫色だと気付く。なんだか近ごろおかしい…
ある日の放課後、倫子は慎ちゃんと対立する番長グループに襲われる。倫子はアザがある左腕が熱くなり、男の腕を噛みちぎる。さらに全員ひきさいて殺害…
倫子が目を覚ますと、慎ちゃんの家にいた。何となく殺した感覚が残っているが、慎ちゃんには言えず。取り乱す倫子を慎ちゃんは慰める。
生物の曽根原先生
獣に変身できる人間について研究している曽根原先生は、どうにかして倫子を変身させようと、あれやこれや罠を仕掛ける。
倫子はなんとかかわすが、妹の舞子を人質に取られてしまう。倫子が助けようとすると、舞子は狂犬に襲われ噛み殺され死亡(!)
◆感想◆
1巻の終わりがこれって衝撃的過ぎる…
2巻:モルモット
舞子が殺され、怒りに狂った倫子は、曽根原先生の目の前で豹に変身する。
「曽根原薫子!必ず殺してやるわ!!」
そんなことを知らない慎ちゃんは、倫子をなだめて落ち着かせる。
しかし慎ちゃんが、倫子の変身過程を撮ったビデオを見てしまう。さらに殺害事件の犯人が倫子だと知って、よそよそしい態度をとる。
慎ちゃんは迷いながらも曽根原先生の味方についていた。ヒドイ…
その後、倫子は人体実験のモルモットとして捕まってしまう。
そんなとき、倫子の前に包帯ぐるぐる巻きの謎の男が現れる。その男は曽根原の父親だった。6年前、世の中に研究結果を信じてもらえなかった腹いせに、ガソリンをかぶって自分に火をつけたそうな。
それ以来、娘に地下室に閉じ込められているらしい。
倫子は失恋し、人間でいることに未練がなくなった。目標はひとつ。曽根原を殺すこと。
◆感想◆
変身のたびに服がビリビリに破れるの大変だよね。しかも人間に戻ったとき真っ裸ってツライ。
3巻:黒ヒョウの小田切貢
豹に変身した倫子は慎ちゃんを襲う。
実は慎ちゃんは、ビデオテープのもとのありかを探すために、演技をしていたらしい。
豹の倫子をなだめて連れて帰ろうとすると、慎ちゃんは曽根原の父に撃たれてしまう。あちゃー
激怒した倫子は曽根原の父を噛み殺す(!)
フリーのジャーナリスト・小田切貢
小田切は、ケガをした慎ちゃんと変身がうつったビデオテープを拾っていた。さらに倫子と同じ紫の目をしていた。
倫子は小田切のアジトから慎ちゃんを連れて脱出する。
森で出会った夫婦に病院へ案内してもらうが、途中で夫婦は殺されてしまう(!)
犯人は黒ヒョウに変身した小田切だった。小田切は倫子が欲しいらしく、慎ちゃんにライバル宣言。ただの人間の慎ちゃんは、果敢に黒ヒョウと戦い、黒ヒョウは崖から落ちる。
そんなとき、ライフルを持った曽根原が現れる。
◆感想◆
森で出会った親切な夫婦は何だったんだ?ただ殺されるだけに出演したのね。アーメン…
4巻:変身のエネルギー
慎ちゃんが曽根原のライフルを奪い、事なきを得る。
その後、2人の前に黒ヒョウが現れる。慎ちゃんがやられて、倫子はヒョウに変身。
街で黄金色のヒョウと黒ヒョウの戦い。
小田切は倫子に、慎ちゃんとどちらか選ぶよう迫る。
獣に変身する代償
街では狂暴なヒョウの捕獲作戦が始まる。
麻酔銃を撃たれた倫子が危機一髪なとき、黒ヒョウが助けに来る。
曽根原の情報では、倫子と小田切は短命種だそうだ。変身のたびに相当なエネルギーを浪費しているからとのこと。
そんなとき、小田切さん吐血…
倫子は人間らしい生活に日に日に違和感を覚える。倫子が飼い犬を殺そうとしている(!)ところを慎ちゃんと父親に見られ、浅ましい姿をこれ以上見せないよう、ひとり旅立つ。
◆感想◆
慎ちゃんただの人間なのに、がんばってるわ~。豹に変身する女の子を受け入れるなんて器がデカすぎる。
5巻:倫子の危機
倫子は慎ちゃんへの思いを断ち切って、小田切のもとを訪れる。仲間意識で気持ちが繋がるが、小田切が出したワインに睡眠薬が入っていた。
倫子は意識が薄れる中、小田切に犯される(!)
ショックで自殺未遂をした倫子は妊娠していた(!)わーお
その後、慎ちゃんに真実を知られ、小田切と共に死ぬことを決意。警察に囲まれた小田切のもとに倫子が現れる。
黒ヒョウと金色のヒョウが狙撃犯に撃たれる。
小田切は倫子を助けようと、自らおとりになって、自爆した。
慎ちゃんは小田切の命がけの行動を目の当たりにして、決意する。
それから1か月後
倫子が目を覚ます。死にたいと暴れる倫子に慎ちゃんは
「倫子、結婚しよう」
ヒョウに変身する(!)し、他人の子を身籠ってる(!)し、結婚出来るわけがないという倫子を、優しく包み込む慎ちゃん。すっげー
その後、倫子は女の子を無事出産。赤ちゃんにアザはなかった。
◆感想◆
慎ちゃんの包容力が底なし沼だわ。倫子に慎ちゃんがいて良かった。5巻はなかなかの衝撃回だよね。
6巻:母娘
曽根原は倫子の赤ちゃん・舞子を取り上げた医者を殺し、崖から遺体を捨てる。
それを見た2人は、舞子を連れて病院を脱出。教会でかくまってもらう。
倫子は慎ちゃんに短命種なことを暴露して別れを告げるが、慎ちゃんは結婚式の準備をしてくれていた。2人は夫婦になる。
その後、曽根原が2人の居場所を突き止め、麻衣をさらう。
怒った倫子はヒョウに変身しようとするが、エネルギーが足りず倒れてしまう。最期が近いことを悟った倫子は、慎ちゃんを求めひとつになる。
朝方、倫子は1人で麻衣がいる曽根原のもとへ。力がなく変身できずじまいで撃たれてしまう。麻衣は檻の中で大泣き。
そのうち猫が大勢集まってきて、麻衣の瞳は紫に光っていた。
慎ちゃんが麻衣を救い出すが、曽根原に撃たれてしまう。それを見た倫子は最後の力を振り絞り、ヒョウに変身し、曽根原を襲う。
◆感想◆
クライマックス感ハンパない。表紙が可愛くて好きだな。ひと時の幸せだね。
7巻:第2章スタート
曽根原とヒョウの倫子は争いの末、大けがを負いながら崖から落ちていった。
慎ちゃんは警察に何も語らなかった。
それから10数年後(!)
高1になった麻衣は、体の違和感についてパパに問いただすが、教えてもらえず。
ここで麻衣からのビックニュース
<パパは医者です>
謎の黒ヒョウ
ある日、自宅にいた麻衣が黒ヒョウに襲われる。不安な様子の麻衣に、パパはどう説明しようか戸惑っていた。
運動神経抜群な麻衣は、バスケ部にスカウトされる。そこで大学部でバスケ部に所属する高階暁生と出会う。
実は暁生は、あの黒ヒョウだった。麻衣のような純血種は一族を滅ぼすらしく、殺害するために暁生の一族に捕まる。
麻衣は闘技場に入れられ、飢えたヒョウたちが放たれる。さらに黒ヒョウになった暁生が襲い掛かる。
◆感想◆
慎ちゃんが医者になってたのはビックリ。倫子が死んだとき慎ちゃん18歳だったよね。乳飲み子抱えて医学部目指したなんてすげーわ。
あと、慎ちゃんが娘の麻衣とキスする夢を見てるのキモい…。まぁ血が繋がらないし、15歳差だから恋愛関係になるのも無くはないか…
8巻:麻衣の恋心
飢えたヒョウたちはなぜか麻衣に懐き、黒ヒョウは麻衣を縛る鎖を噛みちぎった。麻衣に力がみなぎり、鉄格子を破り、脱出する。
その後、麻衣はパパから、出生の秘密を聞く。麻衣の実の父・小田切貢は暁生の叔父だった。つまり麻衣と暁生はいとこだった。
パパへの恋心を指摘された麻衣は、暁生と試しにキスをする。その場面をパパが目撃してしまう。気まずい空気感…
曽根原薫子
そんなある日、麻衣と暁生のまえに曽根原薫子が現れる。
暁生の一族の族長は、曽根原と手を組んでいた。
15年前、崖からママと曽根原が転落して死んだと思っていた。しかし曽根原が生きていたことで、ママの生存の可能性が出てくる。
そのせいで、麻衣の嫉妬心が爆発。パパに女として愛してほしいと抱き着く(!)が、パパは大人の対応をする。
その後、麻衣の不注意で車に轢かれそうになったとき、パパがかばい、3カ月の入院となる。
麻衣は出生の秘密を知りたがり、ママに会うため曽根原の研究所へ向かう。
◆感想◆
ゴタゴタに巻き込まれつつ、ちゃんと恋愛も入れてくるところが良いね。血が繋がらないパパが33歳の医者だったら、魅力的に見えてしまうのはしょうがない。
9巻:ママとの再会
曽根原の研究所に着いた麻衣と暁生は、つぎつぎと罠を仕掛けられる。そんなとき、目の前に黄金色のヒョウが現れる。どうやらママは生きていた模様。
麻衣はママと話をするために、1人で曽根原の研究所に乗り込む。眠るママに涙の対面。
実は崖から落ちた時、変身人間の一族に助けられて、冷凍保存されていたらしい。
その後、麻衣は研究所で音波により操られ、いつの間にか4日も経っていた。暁生が助けに来たことで正気に戻り、脱出を試みる。
音波で麻衣は苦しみだし、麻衣の能力で研究所が粉々に(!)
目が覚めると暁生がいた。麻衣は変身人間が短命種であることを知る。動揺していると、暁生にキスされる。キスは血の味がした。
◆感想◆
黒ヒョウのベッドがふかふかで温かそう。
10巻:慎ちゃぁぁぁん!!
曽根原はママを連れてヘリコプターで脱出しようとしていた。麻衣は能力でヘリコプターを墜落させようとする(!)が、暁生が止める。麻衣の能力を目の当たりにした曽根原は、さらに麻衣獲得に意欲を燃やす。
いつしか麻衣は、暁生に心を許し、恋に落ちていた。
パパはママの生存を知り、怪我を押して出かける。麻衣はパパを追って、曽根原のアジトに行くと、ヒョウのママが捕まっていた。しかもそこにコンクリートを流し始める(!)
パパが助けに入り、麻衣と暁生はママを救出する。ママには15年間の記憶が無かった。しかし目を覚ますと、麻衣のことを匂いで覚えていた。感動の再会…
一方、怪我でぼろぼろのパパは、曽根原に捕まっていた。
捨て身の覚悟で戻った麻衣を、パパは必死で守ろうとするが、撃たれてしまう。
ママが現れた時、パパはすでに息を引き取っていた(涙)
「慎ちゃん…!!」
ママはまだ暖かいパパにキスをして抱きしめる。
◆感想◆
ウソでしょ…。生きて会えなんて悲しすぎる。
この巻、驚きの連続で息を呑んだ。
11巻:別れ
麻酔銃で撃たれた麻衣は、体の自由が利かなかった。
火のまわりが早く、防火シャッターを閉めようとすると、スイッチが内側にあった。ママはパパの遺体と共に残り、内側からスイッチを押した。
「麻衣…育ててあげられなくて ごめんね」
麻衣は黒ヒョウの暁生の背中に乗せられて脱出する。
暁生の治療
暁生は短命種のため、変身のたびに具合が悪くなっていった。
パパが遺した麻衣の成長記録により、曽根原は暁生の治療方法を見い出す。それを聞いた麻衣は、暁生に治療を勧める。
「自分の自由とプライドまで売ってまで、長生きしようとは思わない」
そんな暁生に麻衣は、暁生の命がなによりも大事だと言う。
「あなたを愛してる!!」
暁生は麻衣に、自分の命を大事にすることを約束して、治療のため曽根原のもとへ。
暁生は急に胸が苦しくなり、血を吐いて脈が止まってしまう。
◆感想◆
えーどうなっちゃうの~
12巻:二人の運命やいかに
曽根原は暁生を助ける代わりに、麻衣の脳手術をして意志を切り取りたいと言う。
麻衣は同意し、手術を受ける。
すっかり操り人形になったと思われた麻衣は、実は一族の族長・榊会長に助けられ、手術をしていなかった。
麻衣の血清を注射され、目を覚ました暁生の前に麻衣が現れ、2人は国外へ逃げることを決意する。
翌日
作戦が曽根原にバレて、車のトランクに榊会長の遺体が入っていた。
曽根原は変身人間の発見者として有名になろうとして、黒ヒョウの暁生と生放送のTV番組に出演していた。
<さぁ暁生 ハンサムな顔を日本中に見てもらいなさい>
超音波で操られた暁生は、人間に戻ろうとする。するとその時、停電となる。
麻衣が現れ、怒りで紫色のオーラをまとっていた。光を放ち変身しようとしたその時、暁生が止めに入る。
麻衣には変身も人殺しもしてほしくなかった。
ついに暁生が投げた棒が曽根原の胸に刺さる。爆弾のスイッチを持つ曽根原を見て、暁生が麻衣を屋上から突き飛ばす。と、同時にビルが爆発した…
麻衣の運命
地上で待つ麻衣のもとに暁生は現れなかった。麻衣は暁生の遺志を継いで、榊会長が生前用意してくれたパスポートを持って、飛行機に1人で乗り込む。
飛行機が離陸しようとしたとき、窓の外には黒ヒョウの暁生が並走していた!!!!かっけー!
麻衣は念力で飛行機のフロントガラスを割り(!)、降りると人間の暁生キターー!!
二人は駆け寄って抱きしめてキスをする。はー良かった。
そして代替機に乗り換え出国する 。
ー完ー
◆感想◆
はー良かった良かったハッピーエンドで。ハラハラドキドキで楽しかった~
ネットが無い時代だから、海外逃亡で一件落着だね。便利。
それにしても暁生の変身の途中が色っぽいよね。いまいちどういう人なのかよくわからなかったけど、見た目がめちゃくちゃイケメンでスタイル良くて目の保養だったわ。
あとがき
一応ハッピーエンドだったけど、私にとって主人公はずっと倫子だったから、喜んでいいものやら…。でも娘が幸せなら倫子も幸せってことなんだろうな。
天国で慎ちゃんとよろしくやってるかしら?
中学生の時に初めて読んで、主人公が娘に交代した衝撃は今でも覚えている。なかなか気持ちが切り替えられなかったなぁ…
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